鉱山あれこれ
鉱山のタブー 1
鉱山のタブー 2
鉱夫の道具
鉱石の搬出
鉱山のタブー
1
坑内では、いろいろなしきたりを守らねばなりません。 まず一つめは、「坑内で口笛を吹いてはいけない」 ということです。
鉱山の入口、坑口は木の枠で囲って土砂の侵入や 岩石の崩落を防いでいます。この枠の柱1本1本には 神様が祭られていて、その神様が坑口を守ってくれているのです。
左の1番手前の柱は天照皇大神宮、2番目は春日大明神。 右側1番目は八幡大神宮、2番目は大山祇命。また中央に 国常立命が祭られています。
皆様もよくご存知のように、神社の鳥居の脇には狛犬が 置いてあります。狛犬は神様にお仕えして、警護やお手伝い をするとされています。
さて坑口をもう一度よく見てみると、この形は鳥居によく似ています。 さすがに狛犬
飾ってありませんが、鉱山で働く者には 無形の犬が坑口に祭られている神様を守っているのだと 信じています。
もし坑内で内笛を吹くと、その坑口の犬を呼び寄せることになり、 祭ってある神様の大事な従者を奪い取ってしまうことになります。
もしそんなことになれば、神様は坑口をもう守ってくれないかも 知れません。 ですから「坑内で口笛を吹くこと」は「坑口をつぶしてしまう」ことと 忌み嫌われてきました。
この言伝えは喜和田鉱山のみならず、多くの鉱山で広く信仰されて 来ました。 もちろん科学的な根拠はありませんが、一つ間違えば命を落とす 落盤事故をなんとかなくしたい、藁にもすがる思いがこの様な 言伝えを生んだように思います。
皆様も坑内に入る機会がありましたら、くれぐれもご注意下さい。
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鉱山のタブー
2
坑内では、いろいろなしきたりを守らねばなりません。 二つめは、「ハンマーの鏡を打ち合わせてはいけない」 ということです。
鉱石マニアがサンプルを採るときによく見掛けるのですが、 一つのハンマーの先を岩盤に当て、そのハンマーの鏡 (太く平たい方)を別のハンマーで叩きます。
このハンマーの鏡と鏡を打ち合わせることは、坑内では 厳禁です。
というのは坑内で事故があり、不幸にして死者が出ると セットーとセットーの鏡を打ち合わせながら、死者の霊を 坑外に導き出す儀式があるからです。
この他にも坑内では「頬かむりをしてはいけない」とか 「荒縄を腰ひもに使ってはいけない」等々いくつもの タブーがあります。
危険な坑内作業を少しでも安全に行いたいという強い 気持ちがいろいろな言伝えを生んだのだと思います。
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鉱夫の道具
坑内で作業する人には削岩夫、支柱夫、運搬夫、保線夫、鉄管夫など、いろいろな職種がありました。写真は支柱夫が使う道具のサバヨキ、セットーです。サバヨキは、坑道枠を作る時カサ木を受ける柱の木口にくぼみをつけるヨキで、刃幅の狭いことが特徴です。(写真 上) またセットーとは、ゲンノウ(ハンマー)の一種です。(写真 下)
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坑内で鉱石を描き出す作業
少しわかりずらい写真ですが、坑内で鉱石を掻き出しているところです。
図解しますと、こんな風になっています。 左奥にいる作業者が機械(スラッシャー)を操作して、スクレーパーで踏前(ふまえ)の鉱石を写真中央まで引っ張ったところです。 このあと鉱石は、別に設置してあるもう一台のスクレーパーで、写真右奥の枠のところに引っ張り、ここから漏斗(じょうご)の中に落とします。
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